期間:2015年01月22日 ~ 2015年03月22日

930年代、「郷土」という言葉が全国的に広がります。
郷土教育運動が文部省主導で提唱され、国を支える一単位として、地方を捉えようという機運が高まりました。
日本の各地方で自らの「郷土」が認識されるようになります。
秋田県で県民歌が制定されたのも1930年です。
 パリで活躍した藤田嗣治は、日本滞在中、アトリエを構えた東京からたびたび秋田を訪れました。
国際観光映画の撮影や壁画≪秋田の行事≫の取材の折、秋田の人々や風俗に心惹かれた藤田は、
秋田県の角館町を「嬉しい吾が郷土」と呼んでいます。
 この頃、藤田とは異なる位置から秋田を見つめていた画家たちがいます。
秋田県小坂町出身の福田豊四郎と、秋田市出身の勝平得之です。
福田は1930年、第11回帝展の特賞を受賞、その後、日本画におけるモダニズムを追求します。
勝平は、独特の彩色版画を完成させ、1931年には第12回帝展に初入選します。
福田は、東京から秋田に想いを寄せ、勝平は秋田に在住しながら、それぞれ「郷土」の風景や
風俗をテーマにした作品を制作しました。
 本展では、福田については、秋田市出身の伊藤永之介の小説の装丁本、勝平については、
秋田の風俗を描いた版画や秋田の農村を撮影した映画のタイトル画など、
1930年代から40年代の作品と資料を展観します。
ヨーロッパを体験した藤田、秋田県出身の福田、勝平の3人のまなざしを比較しながら、
「郷土」をキーワードに、秋田への想いを読み解きます。

  • 会 期:1月22日(木)~3月22日(日)
  • 会 場:秋田県立美術館
  • 料 金:一般:500円、シニア(70歳以上):450円、大学生:300円